UCHITERASUのブログ

UCHITERASUは内×家(私自身の内面を磨く×明るく幸せな家庭をつくる×周りを明るく照らせる人になる)という意味を合わせ持って、恋愛や結婚・家庭に関する情報を発信しています!

体の手当てと心の手当て

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昔から怪我の処置をすることを〝手当て〟といいますが、実際に痛い部分に手を当てることからこの言葉が生まれたと言われています。日本では医療の中心が西洋医学となり、手を当てる治療の根拠が見出せなくなると、医療の世界から〝手当て〟があまり見られなくなりました。しかし家庭の中では変わらずに〝手当て〟が行われる場面を見ます。

私がこれまでに学んだ知識で〝手当て〟が本当に体の治療になることを知り、医療現場や青年教育の経験から〝手当て〟が心の治癒にも役立つことを知りました。今日はそんなお話をしていきたいと思います。

以前、JEONGさんが親子のスキンシップについての記事を書いて下さいましたが、今回は医療現場と人間関係におけるスキンシップ効果についての内容になります。人の痛みが分かる人はその分人に優しくできるといいますが、痛みを和らげる方法を知って人間関係を深めるきっかけにしてくだされば幸いです。

 

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体にもたらされる〝手当て〟の効果

 

小さい頃、お腹が痛くなるとお母さんが私のお腹に手を当てて「の」の字を描いてくれました。足を柱にぶつけて「痛いー」と泣いていると、痛い足を撫でながら「痛いの痛いのあっちのお山に飛んでいけ〜」と痛みの素をどこかに投げてくれました。子どもながらに痛みが和らぐのを不思議に思いましたが、大人になるとあれは子どもだましのおまじないのようなものだろうと思うようになりました。

大学の授業でのこと、痛みと神経伝達の話の中で家庭的〝手当て〟である「痛いの飛んでけ」には科学的根拠があることを知りました。それはGate Control Theoryという理論です。

 

Gate Control Theory

痛覚の強度は、侵害情報を中枢へ伝達する細胞(T細胞)への興奮性入力と抑制性入力のバランスによって決定する。T細胞は脊髄後角の膠様質(SG)を介し、小径のC線維とAδ侵害受容求心性線維から興奮性入力を受け取り、大径のAβ非侵害受容知覚求心性線維から抑制性入力を受け取る。 閾値の低い非侵害受容知覚求心性線維の活動亢進はT細胞のシナプス前抑制を起こし、それにより大脳皮質へのゲートを効果的に閉鎖し、痛覚を軽減する。

 

いきなり難しい医療用語を並べて失礼しました(^^;

簡単に説明すると、痛みの情報を伝える神経皮膚を軽く触る・軽く圧迫する・軽く振動させるという刺激の情報を伝える神経相反する働きをしているということです。つまり内臓の炎症や怪我をしたことで痛みを感じていても、体の表面を優しく撫でてもらうことで痛みの情報が抑制されて痛みを脳が感知しにくくなるということなのです。この理論が提唱されたのが1965年。おそらく巷でお母さんが子どもに「痛いの痛いの飛んでけ〜」とやっていたのはそれより前からだと思いますので、そう考えると、家庭の医学の偉大さを感じますよね。そして、親子に限らず痛みを感じている部分を優しく撫でてあげることが本当の〝手当て〟になることが科学的に立証されているのです。

 

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心の痛みに対する〝手当て〟

医療の現場では、身体的な病気に伴う精神的な苦痛に悩まされている人が多くいらっしゃいます。身体的な病気によって精神疾患を発症してしまう方もいるくらいです。また、現代社会の多くのストレスや育児放棄・虐待などによって、精神的な痛みを抱える方も多くいらっしゃいます。心の痛みにも〝手当て〟は効果があります

実際に私が経験した2つの出来事を紹介します。

まずは私自身のこと。私は胃カメラ検査がとても苦手です。年齢的に健康診断で胃カメラ検査が行われるようになり、毎年とても憂鬱になります。直前までなるべく考えないように他のことで気を紛らわしたりするのですが、いつも検査の時間になると身体が硬直して指先足先が冷えてくるのがわかります。それは3年前の胃カメラ検査の時、いつものように検査台に横になるときには身体が硬直し手足が冷えていましたが、その様子を見ていた看護師さんがカメラを飲み込む瞬間に絶妙なタイミングで優しく背中を撫でてくれたのです。毎年検査後には身体の硬直がしばらくなくならないのに、その時は検査中も自分の身体の力が抜けて手足の温かさが戻ってくるのを感じた程、全く違うのです。とても不思議でした。

もう1つの経験はヒステリー症候群という精神疾患の方を担当した時のものです。ヒステリー症候群とは心的ストレスにより身体的な障害が生じる病気で、脳に異常はないのに脳障害のような症状が出たり、神経に異常はないのに足が動かなくなってしまったりするのです。他にも微熱が続いてしまったり頭痛が続いてしまうようなこともあります。原因をはっきりさせるのが難しい病気の1つです。私の担当していた患者さんは心的ストレスで歩くことができなくなっていました。足が本当にむくみ、少し触れるだけで痛みが伴い、本当に心的ストレスが原因なのかと思ってしまうほど身体が辛そうでした。数週間後、その患者さんは何事もなかったかのように歩けるようになって退院しました。立てるようになったきっかけは、夜泣いていた時に看護師さんが何も言わずにただただ手を握り背中を撫でてくれていたことでした。翌日から足のむくみが改善し痛みもなくなり立てるようになっていました。

青年教育の場でも、ただ話を聞いているより手を撫でたり肩を触ったり背中を撫でてあげたりする方が素直な言葉で話せるようになることが多くあります。

様々な経験から、〝手当て〟は心の痛みにも効果があることを実感しています。

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今日は直接身体に触れる〝手当て〟について綴ってみましたが、昨今は感染予防の観点からソーシャルディスタンスを保つことが相手を守ることになると叫ばれており、直接身体に手を触れることを避ける傾向にありますよね。人間には心と体があり、それらがお互いに影響し合うもの。物理的な距離を取ることが人間の心やこの社会にどんな影響を及ぼすか心配です。物理的な距離は遠ざけても、心の距離は遠ざけずにいたいものですね。

最近の研究から家族と電話で会話するだけでも人の脳では幸せホルモンが放出されることが分かってきました。家族と離れて暮らす人も家族と同居されている方も、電話や手紙などで自分の心家族の心を〝手当て〟してみて欲しいなと思います。今後の世界情勢やこの国の行く末が少しでも明るいものになって欲しいと願うばかりです。

 

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